タイ王国の起源となった古都 スコータイ
タイの首都バンコクから427km北部に位置するスコータイ県。
遺跡観光をしたい観光客には有名なスポットとなっています。
スコータイ地方の一番の見どころは、数々の遺跡群からなる歴史公園の存在。
一歩踏み込めば、次から次へと現れる遺跡群は圧巻です。
スコータイは、タイ王国の原型を形作ったスコータイ王朝のあった都市ですが、3つの都市を中心に繁栄してきました。
当ページでは、そんなスコータイの都の歴史から見どころについてご紹介したいと思います。
知って訪れればさらに楽しめる!スコータイの成り立ちと歴史

スコータイは200年の歴史を刻んだ王朝
歴史によれば、タイ族の祖先は中国の雲南から南下してきた民族とされています。
行きついた先は、広大な土地を有するスコータイ平野。
当時、この地域はインドシナ半島を統べていたクメール帝国(アンコール王朝)の支配下にありました。
このスコータイ平野にたどり着いたタイ族は、クメール帝国の支配下に置かれることになります。
13世紀ごろまで支配下に置かれていたタイ族ですが、次第にクメール王朝の支配力が弱まったことをきっかけに反乱を決行。
支配から解放されたタイ族は、その地でスコータイ王国を建国したのです。
「幸福の夜明け」を意味するスコータイ。この王朝の名は、上記のような歴史の背景によるものなのです。
全盛期はすごかった!タイ文字を制定した歴史的大王が生きた時代
このスコータイ王朝を黄金期へ導いたのが、3代目大王ラームカムヘーン。
バンコク市内に、同じ名前の通りがあることをご存知の方もいることでしょう。
中国の貿易や北部のランナータイ王朝(現在のチェンマイ地方)の王との同盟締結、最初のタイ文字の制定などに尽力したラームカムヘーン大王。
セイロン(現スリランカ)から伝わった上座部仏教に触れたことをきっかけに、仏教の布教活動を行った王でもあります。
仏教保護の名残 3つの遺跡群が一番の見どころ
ラームカムヘーン王以降も王国の保護を受けた仏教。
僧侶たちの布教活動が広がっていく中で、たくさんの仏像や遺跡がつくられました。
その名残が、現代の遺跡群です。
遺跡群が多く残る都市は、ムアン・カオ(現スコータイ歴史公園)、交易都市シーサッチャナーライ、要塞都市カンぺーンペットの3つ。
スコータイ王朝の勢力が弱まっていき、アユタヤ王朝に吸収し消滅してからは忘れ去られ森林の一部となっていた遺跡群。
タイ政府やユネスコの修復作業により、当時の姿を取り戻した3つの遺跡群。
そして「タイ族の最初の芸術傑作」としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。
スコータイの代表的遺跡群が集う ムアン・カオ

現スコータイ市のから西に12㎞の位置にあるムアン・カオ。
かつての都の一部として、数々の寺院と仏像が築かれた地域です。
見どころは、悠久の歴史を感じるスコータイ歴史公園でしょう。
スコータイ観光の鉄板!スコータイ歴史公園

世界遺産として維持されているムアン・カオ。
東西1.8km、南北1.6kmの城壁と水路に囲まれており、現在ではスコータイ歴史公園として保存されています。
城壁内には36ヶ所、壁外には90ヶ所の遺跡があり、小規模なものも含めるとその総数は300を超えるとも言われています。
仏像は、ゆるやかな曲線が特徴的なスコータイ様式のものを見ることができます。
現在では歴史公園という形で保護され、観光で訪れた人は乗り合いバスや自転車でこのエリアを回ることができます。
以下では、特に見逃せない寺院を3つご紹介したいと思います。
公園内最大の遺跡 ワット・プラ・マハタート

遺跡公園の中で最も大きく、見ごたえがある遺跡寺院がワット・プラ・マハタートです。遺跡内で最も重要な寺院で、広い敷地の中には様々な礼拝堂、仏像、仏塔が存在します。
本堂にあったご本尊は、現在のバンコク王朝にあるワット・スタットに移され、安置されています。
壁から覗く大仏の視線 ワット・シーチュム

壁の間から覗く視線…一度見たら忘れられないであろう仏像遺跡が、ワット・シーチュムです。
高さ15メートルの大仏、アチャナ大仏のスケールは圧巻。同じ高さの壁が四方を取り囲み、壁の内部では神聖な雰囲気を感じることができます。
四方を囲む壁は3mの厚さがあり、その中には屋上へと通実幅45㎝の通路と階段があります(現在は立ち入り禁止)。
島に浮かぶ寺院 ワット・サ・シー

島の上に建てられていることで印象的な寺院遺跡が、ワット・サ・シー。
城壁内のトラパン・トラクアン池に浮かんでいる小さな島にあり、敷地内にはスリランカ様式で建てられた仏塔が9つ存在します。
水と緑に囲まれた寺院は、夕方になると夕陽との景色が美しく観光客に人気。
そのほかの見どころスポット
そのほかにも、公園内や周辺には見どころスポットが満載。
時間があまったり、もっと他の場所も見られるのであれば以下のスポットがおすすめです。
・ワット・プラ・パーイ・ルアン
・ワット・シー・サワイ
・ワット・サパーンヒン
・ワット・チェトゥポン
・ラームカムヘーン国立博物館
サンカローク焼き発祥の地 シーサッチャナーライ

スコータイ市から北に50kmに位置する古都シーサッチャナーライ。
ムアン・カオよりひとまわり小さな城壁で囲まれたシーサッチャナーライは、スコータイ副王が王になる前に居住し、統治する都でした。
スコータイ王になる前のリタイ王が統治していた時代に多くの寺院や仏像が築かれ、これらの遺跡群もシーサッチャナーライ歴史公園として保存されています。
またタイの有名な焼き物サンカローク焼きの産地としても有名な都市で、現地では製作所や販売店を見ることができます。
シーサッチャナーライ歴史公園

大小含め200以上の遺跡が保管されている歴史公園です。
敷地内は、一人30バーツのトラム車で移動することが可能。
見どころのある遺跡は、以下の3つです。
ワット・プラ・シー・ラタナー・マハータート

旧都チャリエンに建造された寺院で、チャリエンでは最大かつ歴史的重要な寺院とされていました。
まだチャリエンがクメール王朝の支配下に置かれていたころに建造されていたと推測され、建物にはクメールの様式が取り入れられたものが見られます。
1958年、前タイ国王ラマ9世とシリキット妃が訪れたあと、タイの第一級王室寺院に格付けされ、現在ではタイ王室の保護のもとにあります。
ワット・チャーンローム

シーサッチャナーライ歴史公園の中心部にある寺院。
スリランカ方式の仏塔を正方形の土台の上に建て、その下を39頭の像の彫刻が支えています。
像の彫刻のほとんどは半壊しており身体のみの状態ですが、いくつかは当時のまま残っています。360度回って眺めてみるのがおすすめ。
ワット・チェディ・チェットテーオ

ワット・チャーンロームの向かいに立つ、つぼみ型の仏塔が特徴的な寺院。
この蓮のつぼみ型をした仏塔はスコータイ様式のものです。
周りには大小合わせて33の仏塔があり、そのほかにも礼拝堂などの建物が点在しています。
サンカローク焼

スコータイ王朝を代表する陶磁器サンカローク焼き(スワンカローク焼きなど、表記は様々)。
かつての交易都でつくられていたことから、貿易の輸出品として中国や日本にも伝来した歴史ある焼き物です。
日本では「すんころく(宋胡録/宋胡禄/寸古録)」という名で茶人たちに親しまれていました。
シーサッチャナーライでは大昔にサンカローク焼きを製作していたとされる古代の窯が保存されており、発掘されたものを博物館で見ることができます。
もちろん今でも伝統工芸として製作は続いているため、現地へ赴けば焼き物の購入が可能です。
その他おすすめ観光スポット
シーサッチャナーライでは、古代の窯と歴史博物館がそのほかの観光スポットとして有名です。
・サンカローク焼博物館42番窯
・サンカローク焼博物館61番窯
・サワン・ウォラナヨック・ナショナル・ミュージアム
バンコクでもサンカローク焼きが買える?

繊細な手書きの模様が特徴的なサンカローク焼き。
手に入れたいけど、スコータイまで行く時間がない…そんな方に伝えたいのが、バンコクでもサンカローク焼きが購入できるということ!
バンコクでサンカローク焼きを扱っているのは、スクンビットsoi41に店舗を構える人気のアジアン雑貨店「koon(クーン)」。
現地で買い付けた本物のサンカローク焼きを、数多く取り扱っています。
現地に行くことなく現物に触れられる機会が得られるので、この陶器に興味がある方にはとてもおすすめです。
かつての要塞都市 カンペーンペット

スコータイ王朝時代、要塞都市として繁栄したカンペーンペットは、スコータイ南部のターク県にある町。
都市の名は、「金剛の城壁」という意味を持っています。
この地もムアン・カオ(スコータイ)、シーサッチャナーライ同様歴史公園が保存されており、こちらも世界遺産として登録されています。
エメラルド仏があったとされる地域 カンペーンペット歴史公園
スコータイ王朝時代の遺跡群が点在する歴史公園。
南北約2.2km、東西の南側500m、北側250mの城壁に囲まれ、その中に多くの寺院遺跡が点在しています。
ワット・プラケオ

カンペーンペット最大の寺院とされ、バンコク都内のワット・プラケオ同様、かつての王室のすぐ横に隣接された王室専用寺院です。
アユタヤ王朝時代、バンコクのワット・プラケオに安置されているエメラルド仏がかつて祀られていた寺院だと考えられており、これが名前の由来となっています。
カンペーンペット その他おすすめ観光スポット
歴史公園内には、その他寺院と博物館が点在。
時間に余裕がある方は全部まわりきるのもアリですよ!
・ワット・プラ・ボロムマタート
・ワット・チャーン・ローブ
・カンペーンペット国立博物館
スコータイ周辺ホテル情報
Sukhothai Heritage Resort
出展:sukhothaiheritage.com
ゆったり過ごす極上ホテル
スコータイ空港とスコータイ市の間に位置するラグジュアリーホテル。
大きなプールと蓮が浮かぶ池に囲まれ、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
空港から近い点も好評です。「拠点として合格」「プールサイドでのんびり過ごすと最高」という口コミが多いホテルです。
スコータイ遺跡公園まで距離はあるものの、同時にシーサッチャナーライへのアクセスもしやすいという利点があります。
平均宿泊価格 | 3,300THB~10,000THB |
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住所 | 999 Moo 2, T. Krongkrajong Sawankhalok Sukhothai |
アクセス | 外スコータイ空港から車で約1分 スコータイ歴史公園まで車で約40分 シーサッチャナーライ歴史公園まで車で約30分 |
Ruean Thai Hotel
出展:Hotels2thailand.com
タイっぽさを満喫するならここ!
建物からインテリアまでタイ様式を意識したホテル。
部屋はエアコン、テレビ、冷蔵庫、専用シャワールーム完備で快適に過ごせます。
レストランでは地元料理を堪能することが可能。古式マッサージも利用可能なので、遺跡回りで疲れた体を癒すことができます。
無料の貸し出し自転車で、市内を回ることもできます。
平均宿泊価格 | 1,800THB~3,000THB/泊 |
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住所 | 181/20 Soi Pracharuammit Jarodwithithong Road, Tambol Thani, Muang |
アクセス | スコータイ空港から車で30分 スコータイ歴史公園まで車で20分 スコータイバスターミナルから車で3分 |
Resting Place Hostel
出展:Hotels2thailand.com
スコータイ歴史公園まで徒歩8分の格安ホステル
スコータイ歴史公園から徒歩圏内に位置するホステルです。
歴史公園をめいいっぱい楽しみたい、格安で旅がしたいという方にはイチ押しのホステルと言えるでしょう。
部屋のタイプはドミトリールーム、2台ベッド×4のルーム、プライベートルーム、女性専用、男性専用など様々。
一部の部屋はバスルーム共用という仕様ですが、遺跡のすぐ近くで格安で泊まれるのは魅力的です。
空港よりもバスターミナルのほうが近いので、格安旅にはもってこいです。
平均宿泊価格 | 500THB~/泊(事前予約でさらに格安に) |
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住所 | 140/3 Moo 3, Muang Kao, Muang, Sukhothai, 64210 |
アクセス | スコータイ空港から車で約30分 スコータイ歴史公園まで徒歩で約8分 スコータイバスターミナルから車で16分 |
スコータイへの行き方
最短で向かうなら、やっぱり飛行機

時間をあまりかけたくないという人であれば、飛行機でスコータイ空港まで行くのがおすすめ。
ハイシーズンでなければ、3,000バーツ(1万円弱)前後で往復チケットを取ることができます。
空港会社にもよりますが、バンコクではドンムアン空港orスワナプーム空港の2つから発着。
現地スコータイではスコータイ空港を使って行き来できます。
リーズナブルに移動するなら、長距離バスがおすすめ

北バスターミナルから発着の長距離バスを利用して、スコータイへ向かうことができます。
一番高い一等車両でも、片道360バーツ程度で利用可能。
所要時間は6時間~7時間程度なので、夜間での移動がおすすめです。
チケット売り場は27番窓口になります。